「真実を知ってしまう瞬間」がある。事実が、幻想や虚構を木っ端微塵に打ち砕く瞬間だ。
3・11日本大震災である。
予測強度を超えた強烈地震。10メートルの防潮堤を上回る大津波。「起こりえぬ最悪の事態」を
通り越してしまった原発事故。日本はいま、この恐ろしい事実に直面して息を詰めたまま立ち
竦んでいる。
この事態は二十年以上前から予想され、多くの知識人や専門家が市民と共に政府や企業にそ
の危険性を訴え続けてきた。原発反対運動も今の今まで常に継続されてきた。だから、地震と
津波で“原子力安全神話の真っ赤な嘘”が目前に曝け出されて声を無くしているのは、政府や企
業ではなく、見捨てられた現場の被災者であり声を上げ続けてきた私たち市民なのである。あ
あっ!
しかし、立ち竦んでばかりもいられない。真実を知ってしまった私たち市民・民衆は、これ
までと同じような行動や考え方を続けるだけでは満足できなくなってしまった。私たちは市民
・民衆同士の協働を基に、それぞれの地域の自立と、地域と民衆間の共生とを、本気で完全に
実現するべきではないのかと考え始めている。
なかでも、“脱原発社会の実現”が急務である。だからその社会の実現に向けた協働がぜひと
も必要であると宣言したい。
この宣言の主体は、日本の消費者生活協同組合の組合員、農民、市民グループ、教会関係者、
研究者など、志を共にする市民たちとアジアの草の根の民衆を結んで、地域自立経済の創造と
確立を目標に、南北の民衆連帯活動を行ってきている、特定非営利活動法人APLA(あぷら)と
民衆交易の㈱オルタートレードジャパン(ATJ)である。
この両者は「互恵のためのアジア民衆基金(APF)」のネットワークを軸に結集している、日
本、韓国、フィリピン、インドネシア、東ティモール、パキスタン、パレスチナのNGOや民衆
事業体に呼びかけて、3・11日本大震災を契機に我々の連帯の輪を拡げ、理念を深め、行動力
を強いものにしていくために相当の努力をしようと考えている。
さて、今回の大震災に当たって二つの問い合わせがあった。
ひとつは、フィリピンの友人から日本国内のフィリピン移住労働者が震災にあっていないだ
ろうかという質問である。もうひとつは、フィリピンのATC/ATFIグループから、被災した日本
の消費者たちに支援の「民衆バナナ」を贈りたいとの打診があったことである。
これはつまり、(1)アジア各国からの日本への移住労働者たちの安否確認の支援要請であり、
(2)これまで支援を受けてきた側から、日本の被災者に向けての“支援返し”したいという希望の
表明であり実現の要請であった。
ATJ/APLAは、(1)と(2)の課題を実現すべく、新たにWEBサイトを立ち上げ、APFネットワ
ークのメンバーに向けて、(1)と(2)の課題を引き受けることを表明するとともに、今後の具体
的な活動経過を報告していく予定である。
そして、この試みを契機にアジア地域における「脱原発社会の実現」を目指す、自立した地
域経済と市民/民衆相互の協働ネットワークを確立していきたいと願っている。
APFに参画する皆さん、共に行動していきましょう!
2011年3月25日
株式会社 オルター・トレード・ジャパン
特定非営利活動法人 APLA